IT系メモ

興味のあったことや、勉強したことなどをメモしていきます。

日本メーカーはなぜAmazon Echoを作れなかったのか

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Amazon Echoに注目されると必ずタイトルのような、なぜ日本メーカーは作れなかったのかと言われるときがきます。
ハード的な部分は日本メーカーでも作れるでしょうし、音声認識についても研究レベルでは認識率を超えられるかと思います。
しかし、同じ物を日本メーカーが作ったならば、また売れないものを作ってと注目されていなかったと思いますし、他のメーカーも音声認識端末を作っているのに注目されないところがあるのは注意しておく必要はあります。

 

製造業からサービス業へ転換が遅れている日本

数十年前から言われていることですが、まだ製造業で進んでいます。
東芝買収の話が出てきたときに、フラッシュが強いからと、製造業として取り上げられました。

しかしながら、スペック勝負で作るものは既に物理限界と勝負していますので、パッと試して上手くいくような段階ではなくなっています。
とはいえ、色んなしがらみがあるので、一度に移動することはできず、ディープラーニングで徐々に移行していこうとしているのですが、製造業を強化する方向にいっているのではないでしょうか。

Amazonが違っているのは、サービスを中心にしていて、それを強化するようにハードを作っています。
そこがハードがコケても次があるに繋げられているところでしょう。

UIをもっと使いやすいものに!UXが大事だと言われているわけですが、それをクリア出来るようなハードを作ろうとすると、スマフォとの価格差でどうしても満足度が下がってしまいます。
Amazon Echoも200ドル出来ることは、スマフォと比べるとあまり大差はありません。むしろ量産数による価格低下を武器に出来るスマフォの方が性能がいいのがほとんどです。
VRが来ると言われつつも、スマフォとの台数差が桁で違うために、イマイチブレイクスルーを超えられない、価格のわりに使用頻度が少ないなどは、ハードだけで乗り越えようとすると難しいことの再確認といったところでしょう。

買ったもので満足してしまうと、上位ランクのものを買ってもらえないなど、色々あるのでしょうが、2万円~10万円クラスのものは、スマフォと必ず比較されてしまうため、満足する以前にスマフォで良かった、と次の購入につながらないのがあります。

日本にいると世界に通用する物・サービスがわからなくなる

日本にいると日本で通用するものしか考えられない、というのを超えないといけません。物もそうですが、サービスもそうです。

日本の規模で勝負するのであれば、問題ないですが、アイデアはすぐに真似されるものです。結局、黒船来客で潰れてしまう。

日本企業が海外進出出来ないだけでなく、外資系企業が、日本にオフィスを作らなくてよくね?となることもあるでしょう。

2008年代-2016年代

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自分もそんな気がしているので振り返ってみた。ガートナーが出してるもので振り返る。

 

2008年

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マイクロブロギングとなっているのが、TwitterFriendFeedなど。
MySpaceが大成功と言われている。Facebookも出ている。
変わっていないと感じるのは、このあたりに出てきた企業が今もトップにいるからかと思われる。(消えているのもあるが)

クラウドという名前も既に出てきている。
ARはAR toolkitが2007年に出てきているため。今のヘッドセット型はこの時点でも既に開発はされていたが家庭用という感じではなかった。攻殻機動隊電脳コイルを実現しようぜとこの時期でも言っていた。2010年代は変わらなかったと思うのはこのあたりではないか。

サーフェイス・コンピューティングは、Microsoft Surfaceなのだが、今のノートPC側ではなく、テーブルの上に表示される画面を触るもの。

タブレットPCは今のiPadで変わったように見えるが、既に触れるものもあり、ノートPCの画面を裏返してタッチ出来るものなどもあった。操作は変わったが物としてはかわらなかったというところか。

行動経済学も載っていた。2017年時点では、いかに人を反応を見るかをガチャやSNSでやっているが実った形か。

RFIDは10年経っても全部につけるのはできなかった。主に価格が下がらなかったため。10年かけて出来ないものは出来ないと思っている。

iPhone 3Gが2008年に8GB/16GBが出ている。SSDが入っているのはそのためだろう。

3Dプリントが入っているが結局火がついたのは2014年だった。その後、国内では変わらず衰退している。コンビニのコピー機と一緒に置かれることはなかった。出力するまでに時間がかかりすぎるので、物理的に送った方が速いのには勝てなかった。

ビデオ・テレプレゼンスと言っているのは、Ustreamが2007年に出てきたからかと思われる。ニコ生も2007年12月だ。既にスマフォで外でビデオを生中継する環境はあった。


2009年

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ほぼ変わらないが、ヘルスが入ってきたところが新しいか。

パブリック仮想世界は、はてなワールドが2007年、meet-meドワンゴai sp@ceが2008年、Play Station Homeが2008年12月。メタバースは2008年~2009年の時期にネットと身体性の議論があったかと思う。アバターやアイコンによって個を確立できるかといった具合だ。
ネットの身体性については2017年時点とは圧倒的に違っている。フリーブックスにも見られるように、Twitterで顔や所属を出した状態で発言しているのが当たり前であり、YouTuberが顔出しするのが当たり前である。Facebookのように顔を出すのが当たり前である。
切り込み隊長こと山本一郎さんが顔出しして残ったが、kanoseさんは犬写真だったので新規獲得できなかったというのが端的な例かと思っている。


2010年

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iPadが出た年である。その前からタブレットが出るぞ出るぞと言われていたので、メディアタブレットが上のようなところにある。

少額決算システムは、中国だとQRコードで決算出来ているが、今後国内にどこまで流行るか。一旦印刷してしまえばいいのでコストがかからないので、普及する可能性はあると思っている。(今は単に中国製アプリの雰囲気がしているのが障壁だが、それさえ取っ払ってしまえばよい)

消費者生成メディアはどうなったかだが、結果はプロ、セミプロが勝ち、消費者は消費者だった。誰もがブログやYouTuberをして食べていけるわけではないし、YouTubeのランキングはプロの人達が毎日アップロードしているものであったり、テレビからのコピーだったりする。YouTuberですらゲーム実況しないと、ネタを続けられないのだ。
大人数のプロが作ったコンテンツを消費し、同じコンテンツを消費している層に届かない。

一方で、バルス祭りを公式がみんなでバルスしようぜ、となるように、これが流行るなと思われたものをいかに正規プロセスを踏んで取り込むかの競争が起こっているのが2017年である。
新しいピラミッドを作っている人を新規で取り上げるのは炎上リスクが大きいので、既に知っている人に次々と流行っているものをやっているように見せてもらうのが今だ。
インフルエンサーが5分で自撮り写真だけ撮って参加したよとSNSにアップする方が、数時間みっちり取材した人よりも影響力があるのだから仕方ない。

3Dテレビが流行ると言われたが結局流行らなかった。
コンテンツが出てこなかったと言われているわけだが、面倒だったとか、見てると疲れるとか、製作するのが簡単じゃなかったなどかと思われる。

Googleが自動運転を始めたのは2010年。
Webの中だけで見ていると流行り廃りが早いように感じるが、自分のところのビジネスと地続きで、かつ既存の自動車業界の権力関係を崩すようなものには、Googleですら数年の歳月は必要だった。
(Googleは定期的に話題を提供して忘れ去られないようにしていたので持ったというのはあるが)

 

2011年

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画像認識が入っているが、ディープラーニングはまだだ。
IoT、ビッグデータが出てきた年。
IoTはB2C、ビッグデータB2Bという狙いだったかと思う。IoTはコンシューマーが買えるくらい価格は下がらなかったので所得が上がるのを待っている状態。ビッグデータは個人の生活が変わるとうのは目に見えてわからない。
ここが最初の引用した記事の10年で変わっていないと実感するのに起因しているのではないだろうか。

 

2012年

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このあたりで出ているものから2017年になっても変わってきていない。

 

2013年

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そろそろPCからスマフォに変わろうとしてきている。
ウルトラブックは出てきたがダメだった。

 

2014年

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ビットコインが出てきて盛り上がっていた。2017年でもまだ一般まで普及はしていない。
IBMがTrueNorthを発表、ディープラーニングが出てきた。

Uberなどはあるが、まだ個人の生活に入り込むデバイスはスマフォから変わっていない。

 

2016年

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人の認識としては、自分の生活圏に入り込んで来ないと認識できないので、ドローンを日常的に飛ばしている人を見かけるとか、Uberの自動運転を見かけるとか、電動スケボーに乗っている人を見かけるとか、そういうことでなければ、変わっているようには感じられない。

スマフォの中で使うゲームが変わっていたり、家庭の中で買うものが変わったとしても認識できない。流行っているから自分も追いつくために買わなきゃとはならない。

Amazon Echo Lookをみて思うこと

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日本の家電メーカーがコンセプトだけ発表して実現できなかったものがAmazonさんが発売する。
普段からセルフィを撮っている人向けに見えるが、例えばオフィスに居る人と服が被って気まずい思いをしないでいいように、それぞれ違う服をAmazonが推薦してくれるといった未来もあるかもしれない。

何着の服をクローゼットに入れているかとか、持っているバックに似合う服はどれか、そういうのをAmazonが勧めてくるだけでなく、そのうち服のレンタルも開始してくるはずだ。
Amazonプライム会員でEcho Lookを家に置いてくれる人は、月に何着かレンタル出来るといった具合だ。

 

音声のあとにカメラを家庭内に踏み込んでいったわけだが、Amazonは連携してくるだろう。
Echo Lookを導入する人であっても、家中にEcho Lookを付けたいとは思わないだろう。導入するとしてもEcho Look1つ+Echo dotなど安いバージョンの物を全部屋につけてもらえればAmazonとしては最高であろう。

Echo Lookで部屋の大きさをしり、近くのEcho dotで音声を認識し、遠くのEcho dotで部屋の反響音などから、部屋の大きさや複数のEchoを家のどこに置かれているのかを把握する。Echo dotをいくつ家に置いているかで、部屋の数も把握できるだろう。
レシピやタイマーをよく使うところはキッチンに置いてあるというのもわかるだろう。

誰が喋っているのかも把握出来るようになるので、家族構成もわかるだろう。
犬を飼っているのか、鳥を飼っているのかもわかる。

EchoとEcho Lookで家にいるかどうかも把握でき再配達が必要か把握出来る。
Echo Lookを監視カメラ代わりに使って配達ボックスに入れた荷物が盗られていないかも把握できる。(アメリカだったら庭に放り投げられた荷物の監視だろうか)
車のトランクに荷物を配達してもらう場合は、車にもEcho Lookをつけるかもしれない。

家庭だけでなく、お店にも普及するのだと思われる。
お店においている監視カメラの顔認証データを、家庭に置いているEcho Lookと連携すればよい。
そのうちコンビニの無人店舗版が出てきて、お店に入るとカウンターだけだが、奥から注文した商品を受け取るための店舗が出てきたときに、顔認証だけで受け取れる時代も来るかもしれない。

 

友人にプレゼントを送るときはどうだろうか。友人宅にあるEcho Lookの情報から、他の服にはこちらの色の方が合いますよとAmazonが推薦してくれるのであれば、それは便利ではなかろうか。センスの良いプレゼントまで推薦してくれれば完璧である。