AWSでFPGAアクセラレータを販売できる「F1 Instances」
サーバーサイドFPGAを簡単に
サーバーに直結したFPGAを用意するのはハードルが高かったのですが、AWS上で開発、販売までもできるということでかなり魅力的です。
Vivadoでの開発ということで、これまで開発してきた人も慣れているので、初期参入者は間違いなく従来からのFPGA開発者なのでしょう。
作る側のメリットとしては、このようなものが考えられます。
- 回路を作るも顧客がいない
- 利用用途を限定できるので回路を組みやすい
- 販売網が広がる
FPGAに注目されつつも、実際は開発費を出せるところはなく、開発費の代わりにCPU/GPUでゴリ押しする方が良かったりします。
利用する側としては、既に売っているハードを買ってきて付けてみて効果があればいいですし、なければすぐ辞めてしまえばいいということで、FPGAアクセラレータは手軽になっていくかと思います。
プラットフォーム上で競争させるAmazon
今までもプラットフォーム上で競争させてきたAmazonですが、ここでも競争させてきました。
最初はともかく、時間が経ってくると、特定の処理に対しては1位を取るアクセラレータしか儲からないことになります。FPGAを買ってきて、APIを叩くとFPGA側で処理ができるような状態になりますので、処理能力がものを言います。FPGAでアクセラレータしないといけないようなサーバー利用者ですので、お金もそこそこあり(FPGA開発費を出せるほどではなくとも)、2位のものを利用する必要がなくなります。
ビットコインマイニングは難しい
FPGAと聞いてビットコインマイニングを考えると思われますが、サーバー代金で儲けが吹っ飛ぶためあまりよくありません。
また1回の計算量はたかがしれていますので、外部サーバーとのやり取りがボトルネックとなってしまいます。
FPGAアクセレーターの条件としては
- Amazon内部で閉じるデータがたくさんあり、Amazon内部の高速な帯域を利用できる
- CPUとFPGA間でデータのやり取りが限定されている、CPU側からトリガーをかけるとFPGA側のDMAでデータのやり取りを勝手にやり、結果をCPUに返すもの。頻繁にCPU/FPGA間でデータのやり取りをするものは性能でないので向かない
- CPU/GPUでも数時間以上かかるもの
というニッチな条件になると思われます。
初期はディープラーニング系か
既にディープラーニング用のFPGA構成がいくつか出てきていますし、注目度も高いのでディープラーニング関係のものがいくつか出てくるかと思います。
そのあとはデータベースで処理しているもの、ビデオ関係、ブラウザ関係の処理が出てくるものと想像します。
Amazon側に回路を公開する懸念
Amazonが勝手に回路を使う場合もあるので、それが懸念といえます。
ちゃんとAmazonが開発者側にお金を払うのであれば問題ないのですが、Amazonがどういうサーバー構成を取っているのかわからない以上、勝手に使われるかもしれません。
回路の開発者側がチェックする術を持たないのです。
AWSの構成ですぐ使えるように既に開発されているものですから、Amazonが他のサービスで性能が出ないなー、じゃあ登録されているFPGA使ってしまえというのも、わりと簡単にできてしまう。
AmazonがCPU/GPUでやってると言えばそれを信じるしかないわけです。