アプリsnowによる「盛れ」
snowという加工アプリがあります。犬などの動物の耳や鼻を、上からレイヤーとして被せるだけでなく、顎のラインを丸くして、顔の縦の長さを短くする加工をします。目も大きくなるようです。
顔の縦の長さと目の位置の割合で、年齢の見え方が変わってきますので、若くみえるということが人気になっているようです。
プリクラのようなアプリが出てきたのか、という印象を受けますが、もう少し踏み込んでみたいと思います。
加工度と「盛れ」の関係
久保友香さんの研究によれば、加工をしていけばいくほど別人感が増えていく≒「盛れている」ということであり、またある閾値を超えるということのようです。
引用元はこちら
軸が定性的なのが若干気になりますが。
ポイントだけ押さえておきます。
- 現実空間とネット空間では人格が違う。(「個人」から「分人」へ)
ネット空間は、YouTuberやニコ生主など、顔を出すことが、イイねをもらいやすい。 - 女性は顔を出すだけで、イイねをもらいやすいことは自覚している。
同時に顔を出すことで、職場や学校でアカウントバレするリスクを考える。
よってネット人格を形成するのに、別人に見えるほうが都合がいい。 - 自分が所属しているグループ以外からは、全員が同じ顔に見える方がいい。(「擬態化」)
- 肌を加工するアプリ(ビューティープラスなど)は既にあったが、それ以上に盛れるアプリが求められていた。
- どれほど良くても、みんなが知らないアプリを使用するのは駄目。
みんなが使っているアプリを使用して、どのような工夫をすることで、同じグループ内で個性を出すかの競い合い
加工している「建前」を瞬時にわからせることで「盛れ」度を増やした
プリクラからsnowで何が画期的だったのかですが、動物の鼻や耳などのパーツを付け加えたことでしょう。
パーツを付け加えずに、顔のフェイスラインを触ってしまった場合、もっと早く「盛れすぎの坂」にぶつかっていたのを、「あくまでこの写真は動物に似せて加工しているのですよ」という建前を用いることで、より加工度合いを増やしたことにあります。
動物のパーツを追加「擬態」度が増える
加工度が増えているので別人感が増えているのもそうですが、上のレイヤーに動物のパーツを載せて隠しているので、擬態度が増えています。
鼻は個人を識別するのに重要な情報を持っているので、それを隠してしまうというのも良かったのでしょう。
同じパーツを使うことで、個人を特定するためのパーツが減っていることで安心感を得られやすいのかもしれません。
動物のパーツで隠されることで、勝手に良いように想像してくれる
見る人は隠されている場合は勝手に想像していいように解釈してくれるものです。
水着を着ている女性の写真を、水着の部分だけ見えるように水玉模様で隠すと裸に感じられるといった具合です。
周りが使っているので、使っても大丈夫という安心感
流石にここまでの加工だと、周りに誰も使っていない、もしくは流行っていると知っている人が周りにいない場合だと、使う人はいないかと思います。
インフルエンサーが使って、有名人も使っているんだって、というSNSで流行っているものなら追いつかなきゃ!という後押しがあったから、今のように流行ったように思います。