デービッド・アトキンソン 新・観光立国論を読んで
- 「おもてなし」を押しているが、訪日観光客に上から目線からの押し付けを行っているようなものである。
日本人相手にしているサービスを外国人に行っても通用しない。 - 「気候」「自然」「文化」「食事」が稼げるキーワードである。
安全、礼儀、ホスピタリティなどではない。
交通の便がいいというのも必須条件ではない。 - 日本人は外国人をひとまとめにすることが多い。
どこから来ているのか見極め、サービスを変えていく必要がある。 - クールジャパンやゆるキャラだけ押していても外国人からは違和感がある。
アニメだけに絞っても人数が足りない。
複数のジャンルの人を呼び込むことが必要である。 - 外国人に対して、日本で取る統計などは、郷に入っては郷に従えということで、リップサービスをしている可能性があることと、母数が小さいため信用性に問題あり
ポケモンGoによって訪れる人に対して、何を目的に来ているのか、地元の人が理解できるというのがあり、似たようなことが訪日観光でも指摘されていた。
観光客を呼び込むためには、外国人が何を求めているかを理解するのが大事であること、と基本的なことであるが、よく会議などで「強み」とは何かを検討する際に、日本人が考えている前提条件が既に異なっているために、結論も間違った方向にいってしまうことが面白く読めた。
アニメで聖地巡礼をする人を呼び込む、ということは行われているが、一時的な呼び込みであり、一時的な人の増大に投資もできない、間に合わないというのは、日本各地で行われていることである。
都市をコスプレしても、それで来てくれる人は限られている。
持続的に人を呼び込むための施策をしないことには、観光目的で来てくれる人はいないという話である。
ただ読んでいて難しいな、と思ったのは、京都や奈良のような観光資源が既にあるところでない場合、USJのようなものでなければ難しいな、ということである。
なんでアニメやゆるキャラに頼らなければならなかったのかというと、他に観光資源がほとんどないから、なんとかひねり出したという経緯があったのではないだろうか。
自然にしても、富士山を例に挙げられていたが、田舎の原風景ということでもないのだろう。観光客向けに写真をよく見せて、実際に行ってみると違ってた、というのはよくある話。
事前に調べていたものを確認しにいくのが観光だ、と言われることもあるくらいなので、それなりのものがないといけない。
あくまで本書は、地方創生や町おこしの何もないところにお客が来てくれるようになることを紹介した本ではない。
あと中国人観光客に関しては、日本人が商売をするからダメなのであって、日本に住んでいる中国人の方が商売を始めたら、何を求めているのかわかるかと思われる。