IT系メモ

興味のあったことや、勉強したことなどをメモしていきます。

ARMがソフトバンクに320億ドル(約3兆円)で買収される話

ARMといえばiPhoneなどのスマフォの中に使われているCPUのコードを作っている会社です。モノを作っているわけではなく、製造してもらう会社に渡して製造してもらい、ライセンス料金でお金を稼いでいます。

今回の買収で気になるのは、ソフトバンクは何がしたいのかということです。インテルがPC向けを諦め大量のレイオフをし、半導体業界も合併を進めているところです。
製造に手を出してしまうと収益が悪くなるところ、ARMのようなライセンス料で稼いでいるところは、いい会社ではあるのですが、実際に物を製造しているわけではないので、ソフトバンクのSIMを乗っけたハードを作ることはできません。

  • IoT向けのハードを作るには、ARMを買収するだけではIPが足りない。
    ソフトバンクの通信規格に合うように通信をするためのRF部分のIPだったり、他も買収しないと自社内ではハードを作ることは出来ない。

  • 車載に関しても同様で、CPUコアだけ持っていても何も作れない。
    CANやCAN FDだけでなく、車載Ethernetも乱立している状況で、作るとするとかなりのIPを買ってくる必要がある。

Appleサムスン、車載向けのハードの情報を知るための投資では

OSなどだと発表されてから半年くらいで公開されると思うのですが、ハードでは4,5年先を見越す必要があり、それに向けてロードマップを書いています。
ネットで情報が出てきてから対処するよりも早い段階でソフトバンクは情報を得ることができます。

またCPUコアを買ってきて、自前で組み立てれば物が出来るわけではなく、ARMといろいろと相談しないといけないため、Appleサムスンは自社が次に何をしようとしているかという情報を得ることができます。

 

半導体ロードマップIRDSへのコミット

半導体はITRSというロードマップでシュリンクを続けてきましたが、ムーアの法則が無理になったことなどから終了、次にIRDSというIoTなどのロードマップを作成していくことが決まっています。

ARMがIoT機器では沢山載ることが予想されますので、IRDSへの発言も効力を持つようになるかと思われます。
そこにソフトバンクが数年後こういうサービスをしたいということで、ARMの代わりにこういう未来を目指しているので、半導体会社はこういう製品を作ってください、サービスはソフトバンクで提供しますからということが出来るようになります。

前のITRSは、インテルの意向が強くでており、度々非難されていたわけですが、インテルがIoT向けでは相対的に力を失ってきているので、ソフトバンクが主導権を握るという未来も可能性としてはあります。

製造メーカー同士の競争へ

Googleがオープンサーバーのように設計図を公開することで、複数の製造会社を競争させることで購入金額を減らすようにしていたわけですが、
ソフトバンクが提供するARMのコアを使いつつ、ソフトバンク向けのハードを作らせて競争させるというように、Googleがやっているようなことをソフトバンクも出来るようになるかもしれません。

最終的にソフトバンクのサービス向けであれば、ライセンス料を安くするといったようなビジネスも出てくるかと思います。

電子マネー

電子マネーのカードでもARMを使っていますので、近距離通信系でソフトバンクがサービスをしたい場合にも参入しやすくなるという気がします。
 

ARM以外のアーキテクチャだとどうなのか

 CPUコアだけであればPowerPCMIPSなどがあるので、差し替えればいいんじゃないかという話が出てきますが、AMBAのようなバスを使うことを前提にEDA(デザインツール)が設計されている状況で、他のアーキテクチャに差し替えるのは難しいかと思います。

ソフトウェアでWindowsカーネルLinuxカーネルに変えても、周辺何もいじらずに動くかと言われると、動かないと想像しやすいのではないでしょうか。