IT系メモ

興味のあったことや、勉強したことなどをメモしていきます。

Apple A4を作らなければならない理由

Apple A4について思うことがあるので書いておきます。

なぜ専用チップを作る必要があったのか。

AppleインテルCPUを使ってコンピュータを作るようになり、ハードウェアは汎用性のあるものを使い、その上に乗るアプリケーションによって差が生まれると考えるのが一般的になりました。

またiPhoneをみてもタッチパネルのインターフェース部分を共通化することで、どんな言語にもソフトで対応出来るようになり、より汎用性ハードウェアの上にソフトによる差異での価値想像に向かっています。

おそらくこれは正しい流れです。

しかしiPadAppleは自分の所でカスタマイズしたチップApple A4を乗せてきました。なぜ汎用チップを使わなかったのか。

まず考えられるのは消費電力と価格です。汎用チップを使った場合、色んなニーズに対応するために、様々なリソースを積んでいます。iPhone3GSに搭載しているとされるサムスン製のチップにはiPhone3GSに付いているカメラ性能を遥かに上回る画像処理能力や、赤外線通信を行うためのirDAなどが入っています。

こういった無駄なリソースが乗っている場合、チップサイズが大きくなってしまいます。

パソコン業界しか知らない人へ説明しておくとCPUと他の機能は別のものじゃないの、と考えると思いますが、SoCと呼ばれるCPUとその他必要な機能を一つのチップに入れるのが携帯や組み込みでは常識です。

ただし機能はチップの端子から外に出してやりボード設計で使用しなければ使うことは出来ません。チップ機能としてもっているからといって、ファームウェア更新すれば使えるようになるわけではないのです。

また汎用性チップでは性能が出ないというのがあります。特にメモリへのアクセスがバス帯域が足りないことで、性能が出ないことが起こります。

メモリアクセスに関してはソフトウェアでQoSを制御してやり、どのリソースを優先的に使用するかをプログラミングすることにより、バス帯域が足りなくなるのを制御するのが一般的です。しかし使うリソースが多くなるとこの制御が膨大になってしまいます。
日本の携帯のように、次から次へと機能を付け足していくとこの制御が出来なくなってしまいます。

ではiPhoneiPadはどうでしょうか。おそらくAppleはタッチパネルの応答を第一にして考えているのではないでしょうか。機能が少ないからこそ、そこの設計に集中出来たのだと思います。

また専用チップを作り安いというのがありました。組み込みチップにを作るときに困るのは、実際どんなアプリケーションが動くのかということ。Appleには既にiPhoneOSが存在し、求める性能がわかっています。そして最小限のリソースを積むことも決まっていたのでしょう。

iPhone3GSで性能は出て快適な体験をユーザーにもたらしましたが、バッテリーの持ちの悪さについては多くの人が不満に思いました。
iPhone3GSのフィードバックでAppleが取り組まなければならないのは消費電力だと考え、専用チップによる消費電力削減を行ったのだと思います。